第20回定期演奏会 第一ステージ 「みゆき歌曼陀羅」

第20回定期演奏会 
第一ステージ みゆき曼陀羅 演奏曲目解説
Ⅰ. 紫の桜
紫の桜は、世界三大花木のひとつとして知られるジャカランダのことです。この曲はハワイが舞台です。ある女が復讐のためにアメリカから日本へ向かう途中、結核が悪化し、飛行機がやむなくハワイに緊急着陸します。この女はハワイの療養所で何人かの人とふれあい、人生を見つめ直します。
一斉に咲き乱れるジャカランダを見て、女は何を思うのでしょう。ハワイでは春先にジャカランダが一斉に咲き、日系移民はハワイザクラと呼んで親しんでいたそうです。
Ⅱ. 二つのララバイ アザミ嬢のララバイ~ララバイSINGER
 アザミ嬢のララバイは中島みゆきのデビュー曲で、初めてツアーコンサートを開いたときの1曲目でした。2020年のラスト・ツアーでも大切に歌われ、中島みゆきの原点と目されています。ララバイSINGERはアザミ嬢のララバイのオマージュ曲だそうです。ララバイは子守歌のことですが、どちらの曲も幼児を寝かしつけるような歌ではありません。いずれの曲も、疲れ果てた大人が抱かれ慰められながら、明日のために眠りに誘われていくという雰囲気をもっています。
Ⅲ. 糸
 1998年にヒットした「聖者の行進」というドラマの主題歌でした。人々は出会い、つながり、ひとつの布になる。合うべき人に出会い、人を支えるかもしれない布ができる。それを幸せと呼ぶのだということが素直に伝わってくる歌です。「傷をかばいます」だとか「それが幸せです」だとか、断言しないところが魅力だと思うのです。
Ⅳ. 誕生
 この曲は,『奇跡の山 さよなら、名犬平治』という映画の主題歌です。この映画には、心を病む女の子と様々な問題を抱える両親が登場します。中島みゆきは、この人たちに言葉をかけるとしたら、と考えて主題歌を作ったのだそうです。アメリカでは、生まれてきた子に“WELCOME!”と声をかけます。この曲には、人生いろいろあるけれど、“WELCOME!”と歓迎されたことがあるのを、思い出して、覚えておいてほしいというメッセージにあふれています。今日は、コール・フロイデがお客様に“WELCOME!”をお届けします
   (下前 弘司)